血液中のアルブミン濃度が低い人ほど副作用が大きい

抗ガン剤治療では、副作用が大きな問題となりますが、副作用の出方に大きく関わっているのがアルブミンです。

アルブミンは、血液中にあるタンパク質の一種です。タンパク質の中ではサイズが最も大きく、100種類以上あるといわれる血液中のタンパク質の、6割程度を占めています。

また、栄養状態を評価する際の重要な指標の1つであり、血清アルブミン値が3.0g/dL以下の場合は栄養障害と判定されます。更に、アルブミンは ほとんどが肝臓で作られるため、肝機能検査の指標にもなります。

そのアルブミンが、副作用とどう関わっているのでしょうか?

アルブミンには、2つの大きな働きがあります。「様々な物質と結合して、それを身体各所に運ぶ働き」と「血管の中に水分を保持し、浸透圧を維持する働き」です。

まず「様々な物質と結合して、それを身体各所に運ぶ働き」ですが、アルブミンには他の物質と結合しやすい性質があります。分子の中にプラスまたはマイナスに帯電しているところが多々あって、帯電した他の物質を引きつける、などの性質があるのです。そのため血液中にある亜鉛やカルシウムといった微量元素、酵素やホルモン、脂肪酸など、様々な物質と結合します。

同様に、アルブミンは薬の成分とも結合します。つまり、血中にアルブミンが充分ある場合は、薬の成分がアルブミンと結合するために、薬を投与しても血中濃度が一気に上がらないのです。そして、アルブミンと結合した薬は、血管の中を移動して体内各所に運ばれ、そこでアルブミンから離れて効果を発揮して、徐々に代謝されていきます。

反対にアルブミンが少ないと、消化管から吸収されたり注射された薬物は結合するアルブミンが限られているために、非結合の薬物の血中濃度が急激に上がります。そのため投与した全量が身体各所に移動して、一気に激しい作用をもたらしてしまうのです。

そのため、栄養状態が悪くアルブミンが少ない人ほど、薬の作用が急激に出て、副作用も大きくなってしまいます。アルブミンが少ないと、徐々に効いて副作用を少なく、という正常の作用が起こらないのです。

もう1つの「血管の中に水分を保持し、浸透圧を維持する働き」も非常に重要です。浸透圧とは、濃度の異なる溶液が、半透膜を間にして接した場合に生じる圧力です。半透膜とは、小さな穴が開いた膜で、血管壁もその一種です。

血管壁には小さな穴が開いていますから、水やブドウ糖、ナトリウムやカリウムなどの小さな分子は血管壁を自由に通り抜けることができます。つまり、放っておくと血管の内も外も同じ濃度になってしまうのです。

ところが、アルブミンは分子が大きく、血管壁を通り抜けることができません。しかも、アルブミンには水の分子を引きつける作用があります。その強さは、アルブミン1gあたり水20mL程度と、かなりの量に上ります。

そのため、アルブミンがあることによって、血管の内側にある分子の総量が外側にある分子の総量よりも多くなり、内から外に向けて圧力がかかります。アルブミンによって血管内に水の分子が保持され、外側に向けて圧力がかかった状態になるわけで、それによって血管が丸く膨らみ、その中を様々な物質が流れていくことができるのです。

もしも、血管の内と外で浸透圧の差がなければ、血管は丸く膨らむことができ
ず、心臓がいくら血液を送り出そうとしても、血液は血管の外に滲(し)み出してしまうでしょう。したがって薬の成分も、注射ならば注射した近辺に滲(にじ)んでしまい、血管の中を流れていくことができません。

ちなみに、栄養障害になると身体がむくむのは、血中のアルブミンが減って水を血管内に保持できなくなり、水が血管壁から外へ浸透してしまうからです。血管壁の小さな穴を通って水が血管から組織の間へと滲(し)み出ることによって、身体がむくむのです。

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