ガン患者の栄養サポートで褥瘡や肺炎などの感染症が激減

私は、ガン治療においては、治療の着地点を見極めて“逆算のガン治療”をすることが大事だと思っています。治療法がある限り何が何でも治療をすることが良いとは限りません。ガンの進行度によっても着地点は異なりますし、年齢によっても着地点は異なります。最終的に決断するのは治療を受ける人、患者本人ですが、その人にとって本当に重要なことは何かを、医療に携わる人たちとともに考えなければなりません。そして、治療できないからしないのではなく、できるけれどもしない勇気も、時には必要です。

もちろん、治療をすべきときにはしたほうがいいです。でも、それがちょっとでも害になって、本人が幸せになれなかったり、家族が幸せになれなかったりするなら、やらないほうがいいです。

患者や家族を苦しめるだけなら意味がありません。治療できないからしないのではなく、できるけれどもしないほうが良いときがあるのです。

ただしそれは、何もしなくてもいいということではありません。医師だけでなく、看護師や薬剤師、管理栄養士、運動療法士などの医療人チームを組んで、どのような栄養を摂ればいいか、リハビリはどうするべきかなど、最適な方法を探り、総力を挙げてサポートすることが大切なのです。

ガンと栄養の関係を考える場合、ごく大づかみに言って、闘病中や回復期、そして病状が安定してからも、ガンがある人はたっぷり栄養を摂る必要があります。しかし、最終段階では栄養を摂り過ぎないことが大事です。ただ、最終段階も含めたガン終末期の栄養をどうすればいいかが見えてきたのは、ごく最近のことです。

日本では1990年代末頃までは、栄養管理が医療だと思われていなかったということもありますが、特にガン終末期の人に対する栄養管理は全く考えられていないと言っても過言ではありませんでした。

ガン患者は、終末期には「悪液質」と呼ばれる状態になって亡くなることは知られていましたが、代謝がどうなって悪液質になるのか、悪液質になると代謝はどうなるのかといったことが、よく分かっていなかったのです。

終末期の患者に対して栄養学的なサポートを行った結果、褥瘡(じょくそう)や感染症が減り 口から食べられる人が増え、平均在院日数が短くなりました。ガンの人もそれ以外の病気の人も、栄養状態を良くするだけで、悩みの種の褥瘡や肺炎などの感染症が激減し、治療の効果が上がりました。その効果もあって、歩いて入院した人が、ちゃんと歩いて退院できるようになったのです。

残念ながら亡くなる人もおられましたが、苦しんで亡くなるケースはほとんどなくなり、笑顔のままスッと息を引き取ることが多くなりました。退院して元気に暮らし、最後の最後に1週間ぐらい病院に戻って来て、穏やかに亡くなるのです。

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