褥瘡はどうしてできるのか?

褥瘡(じょくそう=床ずれ)発生の要因は、大きく分けて2つあります。(1)圧迫の程度と持続時間、(2)組織の耐久性です。

まず(1)「圧迫の程度と持続時間」ですが、なぜ圧迫が褥瘡の原因になるかというと、血流が妨げられるからです。

たとえば、あなたの手の甲を、本の角に押し付けたとします。すると、どうなったでしょうか? 押しつけた部分が白くなったと思います。白くなったのは、圧迫されたことで血流が妨げられたからです。

あなたは直ぐに押し付けるのをやめましたから、圧迫された部分に血流が戻って、既に白い跡は消えているはずです。しかし、圧迫が長い期間続けば、その部分の細胞に血液が行かなくなり、細胞が壊死して褥瘡が出来てしまいます。

そして、長期間にわたって身体が圧迫され続けることの原因には「可動性の低下」「活動性の低下」「知覚障害」の3つがあります。

可動性すなわち運動能力が低下していたり、どこかに行こうとか何かをしようという活動性が低下していたりすると、人は身体を動かしません。これは自発的な運動や活動だけでなく、介護士などの他者が関わって運動させたり活動させたりする場合も含みます。

更に知覚や神経の障害によって、じっと同じ姿勢をとっていることが「不快だ」と感じられない場合も、人は身体を動かしません。したがって、この3つが低下すると寝たきりになり、身体が長い間、圧迫されて血流が妨げられ、細胞が壊死して褥瘡が生じてしまうのです。

(2)「組織の耐久性」には「外因性要因」と「内因性要因」があります。組織の耐久性とは、皮膚などの丈夫さを意味します。外因性要因とは、患者本人の内的なことではなく、外部に原因があることです。

外因性要因は、更に2つに分かれます。そのうちの1つ「過度の湿潤」とは、皮膚が必要以上に湿ったり、濡れたりした状態を指します。人の皮膚はいつも ある程度は湿っていますが、失禁があったりすると、長時間にわたって過度に湿潤な状態になります。そうなると皮膚は物理的に弱くなりますし、バリア機能が低下して免疫機能も弱くなります。しかも、濡れると皮膚は、摩擦力が大きくなります。

一方、寝たきりの人のオムツを替えたり、着替えをさせたりする際には、どんなに気を付けても皮膚と寝衣や寝具との間に「摩擦とずれ」が生じます。ベッドの背もたれを起こしたり、車椅子に座らせたりしたときにも、身体が下にずれて摩擦が起こります。すると、どうしても皮膚が剥がれますし、皮下の脂肪や筋肉にも力がかかります。そのため、皮下組織にも皮膚と同様にずれが生じて、細胞が損傷したり、血管が引き延ばされて血流が滞ったりするのです。

内因性要因とは、患者自身の状態が原因になっているもので、栄養不良、加齢、低血圧、低酸素分圧、その他(臓器障害など)があります。「低酸素分圧」という言葉が耳慣れないと思いますが、酸素分圧とは、要するに動脈血の中に酸素がどれくらいあるかという指標です。呼吸障害や貧血があったりするとこれが低くなり、身体の隅々にまで酸素が届きにくくなるのです。

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