どうすれば褥瘡の悪化を防ぎ、早く治せるのか

褥瘡(じょくそう=床ずれ)を発生させないためには、栄養管理をしっかりして栄養障害に陥らせないようにすることが重要ですが、では、いったん出来てしまった褥瘡を治すには、どうすればよいのでしょうか?

褥瘡の治療には、傷口の洗浄、薬物療法や外科的治療、体位変換や体圧分散マットレスの使用などの“局所的管理”に加えて、“全身的管理”である栄養管理がとても重要です。

一般的に、褥瘡を治療する際には、肉芽(にくが)の形成を促進して傷口を塞(ふさ)ぐため、タンパク質(アミノ酸)を多めに投与する必要があります。

なかでも特に、細胞増殖に関わって傷の治りを早めたり、免疫機能を高めたりするアルギニンは重要です。アルギニンは体内で作られるため、平常時には必須アミノ酸ではありません。ところが身体に侵襲が加わった状態、すなわち傷があったり手術をしたりしたときには大量に必要とされるため、外から補わなくてはならないのです。

ちなみに肉芽とは、カサブタをはがすとその下にある、赤い芽のようなツブツブの組織です。これは血管に富んでいて柔らかく、盛んに増殖して、壊死した組織を吸収して欠損部を埋める働きをします。

脂肪では、ω(オメガ)3系脂肪酸が重要です。ω3系脂肪酸には、調理油などに含まれるα-リノレン酸や、魚油に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などがあります。

ω3系脂肪酸は、繊維芽細胞の増殖を促すとともに、コラーゲンの合成量を増やして肉芽の形成を促進します。コラーゲンは細胞と細胞の間にあるタンパク質で、細胞同士をくっつけたり、皮膚に水分を保持したりする働きを担っています。ω3系脂肪酸は更に、炎症や発熱をもたらす生理活性物質、プロスタグランジンが作られるのを抑えて、炎症を鎮める働きもします。

ビタミンや微量元素も重要です。特にビタミンCはコラーゲンの合成に関わっていて、皮膚の再構成には欠かせません。ところが、組織の中のビタミンCは加齢に伴って減ってしまう上に、ストレスや感染症によっても減少します。したがって褥瘡がある場合は、ビタミンCを充分に投与する必要があります。

銅と亜鉛も重要です。銅は様々な酵素の補酵素として働き、コラーゲンの生成にも深く関わっている為、傷の治療には欠かせません。また、鉄を利用しやすくする働きもあり、それによってヘモグロビン(赤血球の中にあって酸素と結合するタンパク質)の生成を助ける為、銅が不足すると貧血になります。

亜鉛は体内で非常に多くの働きをしていますが、褥瘡との関連では、細胞分裂を促す酵素や炎症を抑える酵素の補酵素としての働きが重要です。亜鉛が不足すると細胞分裂がうまくいかなくなったり、炎症を鎮める作用が低下したりして、傷の治りが遅くなるのです。

さらに、褥瘡の感染症対策としては、GFO(グルタミン、水溶性ファイバー、オリゴ糖)をはじめとする免疫力を高めるための栄養を、腸を使って投与することも重要です。

褥瘡は外に向かって開いた傷口ですから、容易に感染します。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などに感染して重篤化しないためには、小腸を活性化して、免疫機能を高めておくことがとても大切なのです。

narumi500_333


雑学・豆知識 ブログランキングへ

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る