脳卒中と栄養の関係性について

脳卒中とは、急に発症する脳血管障害のことで、脳動脈瘤破裂による「くも膜下出血」、血圧の急な変動や高血圧によって起こる「脳出血」、脳の血管が詰まる「脳梗塞」を含みます。脳卒中を起こすと、出血した部分や詰まった部分から先の脳細胞に血液が行かなくなり、酸素と栄養が不足して、脳細胞が壊死してしまうのです。

脳細胞は、いったん壊死すると再生しません。また、脳にある血液脳関門というバリアによって、分子量の大きな物質は通過できません。そのため、抗酸化作用があるとされるビタミン類や栄養素、また薬剤などを投与しても、血液脳関門を通過できません。「脳を回復させる栄養素はない」というのが現状なのです。

ただし、直接脳に働きかけることができなくても、きちんと栄養管理をすることで、摂食・嚥下(えんげ)障害を悪化させず、感染症を予防し、全身状態を良好に保ち、回復しやすくすることはできます。

脳卒中で特に問題となるのは、吐き気と摂食・嚥下障害です。発症後1週間程度は脳がむくむために吐き気がして、口から食べることができませんし、経鼻胃管など挿入しても胃の内容物を排出することが主眼となり、経腸栄養剤の投与は困難なことが少なくありません。また、顔や頸(くび)、口腔や咽頭の神経が障害されて、飲み込みがうまくいかなくなることも多々あります。

したがって、急性期にはどうしても点滴で栄養を入れることが多いのですが、吐き気止めを使うなどして、できるだけ早期に経腸栄養に切り替えることが
重要です。口腔ケアもきちんとして、必要ならば胃瘻(いろう)を作ることも検討します。胃瘻はあくまでも食べさせるためのものです。口から食べられるようになったら抜くか、使わなくなっても万一のときのために置いておくか、そこまで視野に入れて造設します。

そして、三大栄養素やビタミン、ミネラルなどをバランスよく投与します。味覚障害を防ぐ亜鉛や銅なども必要ですし、神経の発達に重要な役割を果たすリン脂質を含む脂肪酸の投与も大切です。

もう1つ、リハビリを早く始めることも大事です。身体の麻痺があると、どうしても運動量が減って筋肉が細くなってきますが、筋肉が細ると更に動きが悪くなるという悪循環に陥ってしまいます。これは、筋肉量が減って身体機能が低下したサルコペニアの状態です。

サルコペニアが進行すると自分で動くことができなくなり、生きる気力が失われていくのは、これまでに述べたとおりです。したがって、タンパク質の合成を促進するBCAA(必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシン)なども投与しつつ、早期にリハビリを開始して、運動機能の低下を防ぐことがとても重要です。

narumi500_333


雑学・豆知識 ブログランキングへ

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る