ガンは身体から栄養を奪って成長していく

皆さんは、ガンにどのようなイメージを抱いていますか?「遺伝子の異常が積み重なって、死なない細胞が出来てしまう病気」でしょうか。「普通の細胞と違ってガン細胞は死なず、際限なく増殖するために、どんどん増殖して腫瘤(しゅりゅう=体にできた「かたまり」)を作り、やがて重要な臓器をダメにして人を死に追いやる」というイメージかもしれません。

ところが、栄養の観点からすると、ガンは「代謝異常」の病気です。代謝とは、生命を維持するために必要なエネルギーを作ったり、筋肉などの組織を作ったりするために、私たちの体内で起こる生化学反応全般のことです。ガンは、この生化学反応を異常にしてしまうのです。

ガンは、まず糖の代謝を異常にします。糖の代謝に関わる「酵素」に異常を生じさせて、糖の代謝を亢進させるのです。

酵素とは、生化学反応で触媒の働きをするタンパク質です。酵素の中には酵素そのものだけで働くものもありますが、酵素の働きを助ける「補酵素」を必要とし、補酵素と結合することで初めて働くものもあります。補酵素には、ビタミンB群などのビタミン類や、マグネシウム、亜鉛、イオウなどの微量元素、コエンザイムQ10など、様々なものがあります。

酵素は、それぞれが特定の物質に対応していて、対応する物質の反応速度を速めます。つまりブドウ糖なら、代謝する際にはブドウ糖に対応する酵素が働きますが、ガン細胞はその酵素の働きを狂わせてしまうのです。

そのため、ガン細胞の中では糖代謝が亢進します。すなわち、糖の分解がどんどん進み、糖をどんどん消費してしまうので、ガン細胞は糖を大量に取り込みます。そして、糖を代謝する際に生まれるエネルギーを使って、ものすごいスピードで増殖していくのです。

更に、ガンはタンパク質の代謝も異常にします。ガン細胞は、サイトカインやPIF(proteolysis-inducing factor : タンパク質分解誘導因子)と呼ばれる物質を放出しますが、その影響で、筋肉ではタンパク質の分解がどんどん進みます。

サイトカインとは、様々な細胞に働きかけて その働きを変える、ホルモンに似た物質です。ガンになると、肝臓で合成されるタンパク質の量は増えるのですが、それをはるかに上回る勢いで、タンパク質の分解が進んでしまうのです。

脂質の代謝でも同様のことが起こります。ガン細胞が放出するサイトカインやLMF(lipid mobilizing factor : 脂質動員因子)によって、脂肪細胞から血液の中に脂肪が溶け出します。

ところが、ガンが放出するサイトカインの影響で、血中脂質をうまく代謝できなくなってしまうのです。そのため、高度に進行したガン患者は高脂血症になります。

このようにして、ガン患者は筋肉が細り、体脂肪も減って、あっという間に痩せていきます。ガンは私たちの正常な組織を崩壊させ、強引に栄養を奪い、際限なく増殖していくのです。

「栄養を入れるとガンが大きくなる(だから栄養を入れないほうがいい)」という言い方は、ガン細胞が栄養を摂り込むことだけに注目し、その栄養が私たちの身体から奪われていることを無視しているわけです。

身体からどんどん栄養が奪われてしまうのですから、その分の栄養を補わなければ、ガン患者はあっという間に栄養障害に陥ります。筋肉が細って、歩いたり立ったり自分で排泄したり食事をしたりできなくなります。脂肪がなくなって褥瘡(じょくそう)ができ、免疫機能が衰えて感染症に罹(かか)ってしまうのです。

ガンに栄養を奪い尽くされてしまえば、そこにあるのは死です。しかし、必要充分な栄養を補給できれば、ガンとともにではあっても、いきいきと生きることができます。最後の最後、本当の終末期には、私たちの身体は栄養を受け付けなくなります。

しかし、すぐにそうなるわけではありません。早くから適切な栄養管理を行えば生存期間は延びるはずです。自分の口で食べ、動き、考え、笑い、いきいきと生きる日々が、ずっと長くなるはずなのです。

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