脂質の消化・吸収・代謝

脂質には、中性脂肪やリン脂質など様々な種類がありますが、食物中の脂肪の98~99%は中性脂肪です。脂質は主にエネルギー源として使われ、糖質やタンパク質が1gあたり4kcal のエネルギーを生むのに対して、脂質は1gあたり9kcal と非常に効率がいいのが特徴です。また、脂質は細胞膜やホルモン、プロスタグランジンなどを作る材料としても使われます。プロスタグランジンは、血管や気管支、子宮などの拡張と収縮を促す生理活性物質です。

脂質も糖質やタンパク質と同様、吸収するには小さく分解する必要がありますが、水溶性でないために、小さくしてもそのままでは血液に溶けません。したがって脂質の消化とは、脂質を単に小さくしてもそのままでは血液に溶けません。したがって脂質の消化とは、脂質を単に小さくするだけでなく、水溶性の物質にかえて取り込む過程なのです。

脂質の分解は主に十二指腸で行われます。胆汁に含まれる胆汁酸が脂肪を乳化することで、酵素が作用できるようになり、中性脂肪が脂肪酸などに分解されるのです。ここで出来た脂肪酸などは、やはり水に溶けません。が、内側が親油性で外側が親水性の物質に取り囲まれること(ミセル化)で水溶性になり、その状態で小腸から吸収されます。
リン脂質一重構造の例

小腸から吸収された脂肪酸は、門脈経由で肝臓に行くものと、リンパ管に入ってから静脈に入り、全身に運ばれるものとに分かれます。全身に運ばれた脂肪酸はエネルギー源として利用されますが、糖質が充分にある場合は脂肪細胞に貯蔵されます。

脂質は、糖質やタンパク質の2倍以上のエネルギーを得られるうえに、代謝によって生じる二酸化炭素量がブドウ糖の7割程度で少ないという特徴があります。呼吸障害がある人のエネルギー源として脂質を多めにするのは、二酸化炭素の排出量が少なく、肺のガス交換の負荷が小さいためです。

また、脂質にも体内で合成できない必須脂肪酸があります。細胞膜やプロスタグランジンの材料になるリノール酸やα-リノレン酸がそれで、これが欠乏すると成長発育障害、皮膚病、免疫機能低下などの症状が現れます。

脂肪酸は、分子の形によって ω3系(オメガ3系)、ω6系、ω9系の3種類に分かれますが、リノール酸は ω6系、α-リノレン酸は ω3系です。ω3系脂肪酸には、抗動脈硬化・抗血栓作用のあるEPAやDHAも含まれます。そのため、どうしても ω3系脂肪酸に注目が集まりがちですが、ω6系脂肪酸にも血管拡張作用など様々な働きがあります。欠乏症の害は ω6系のほうが多彩で重篤化しやすいとされていますから、両者をバランスよく摂ることが大事なのです。

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