血清アルブミン値・RTP・総リンパ球数・血中アミノ酸分析・尿中の窒素量

栄養障害は、三大栄養素やビタミン、ミネラルなどの欠乏や過剰によって起こりますが、では、その人が栄養障害かどうかは、どのように決めるのでしょうか?

医師は無意識のうちに、自分や周囲の人たちの栄養アセスメント(栄養評価)をしています。パッと見たときに、顔色が良くて、肌に張りがあって、筋肉がついていて、適度に脂肪ものっている。そんな人を「元気だ」と感じるわけで、確かにそういう人は、医学的な数値からも元気だという結果が出てきます。

臨床の現場でも、患者の栄養状態を判定する際の第一段階は、主観的な評価です。つまり、患者自身や家族、看護師らの主観に基づいた栄養評価です。とはいえ、「こう思う」というだけでは意味がありませんから、共通の評価方法を用います。現在、世界的に広く用いられているのが、簡単な問診とチェックシートによって患者の栄養状態を診る「SGA(Subjective Global Assessment:主観的包括的栄養評価)」です。評価項目は、体重の変化、食事摂取量の変化、吐き気や下痢などの消化器症状、日常生活における活動状況、発熱や呼吸状態といった身体状況などです。

入院時にSGAを実施して「栄養障害あり」と判定された患者には、更に「客観的栄養評価」を行います。客観的栄養評価では、体重減少の具体的な割合を見たり、皮下脂肪の厚さを身体計測によって調べたり、血液検査や尿検査をしたりします。これによって栄養障害の程度を判断し、栄養療法を行うかどうかと、その処方を決定するのです。また、手術を予定している患者に対しては術後の状態を推定したりもします。

血液検査では、主に以下のようなことを見ます。まず「血清アルブミン値」です。血中のアルブミンは栄養が不足すると減少するため、栄養状態の指標とされていますが、アルブミン値が下がる理由はいくつかあります。食事として摂る栄養が不足している場合が1つ。感染や炎症、褥瘡(じょくそう)、手術などの侵襲があって、タンパク質の崩壊が進んでいる場合がもう1つ。更に、糖尿病性腎症のように、アルブミンが尿に排出されてしまう場合もあります。また、アルブミンは肝臓で合成されるため、肝機能障害がある場合も血清アルブミン値が低下します。

ただし、アルブミンの半減期は21日のため、数値が反映しているのは3週間ほど前の栄養状態であって、今の栄養状態ではありません。そこで、直近の栄養状態を知るには、もっと半減期の短い物質を使う必要があります。それがRTP(Rapid Turnover Protein)です。

RTPは、その名のとおり代謝の速いタンパク質で、トランスフェリン(半減期 7日)、プレアルブミン(半減期 2日)、レチノール結合タンパク(半減期 半日)があります。これらはいずれもアルブミンと同様、食事による栄養が不足しているときだけでなく、侵襲や肝機能障害があるときにも数値が下がります。

免疫機能を評価する指標としては「総リンパ球数」があります。累積エネルギーバランスがマイナスになると、それに比例して総リンパ球数も低下していくことが分かっています。つまり、栄養が不足すればするほど免疫機能が低下するということで、感染症にかかりやすくなってしまうのです。ただし、総リンパ球数は飢餓状態のときだけでなく、抗ガン剤やステロイド、放射線などによっても低下します。

更に、血液中にある様々なアミノ酸の比率などによって代謝異常を調べる「血中アミノ酸分析」という検査もあります。代表的なものがBCAA(分岐鎖アミノ酸)とAAA(芳香族アミノ酸)の比で、通常は 3.5:1程度の比率ですが、肝機能の障害度があると低下します。この仕組みを発見したのは、シンシナティ大学のフィッシャー教授です。それでBCAAとAAAの比率は、彼の名を取って「フィッシャー比」と呼ばれています。

尿検査では、尿中の窒素量が大事な指標です。タンパク質は、消化されてアミノ酸として吸収され、体内で再びタンパク質に合成されます。アミノ酸は構造に窒素を持ち、タンパク質合成に使われなかった場合は窒素を分離して糖質になるため、窒素が尿中に排泄されます。したがって、投与したタンパク質やアミノ酸に含まれる総窒素量と、排泄された総窒素量を比較すると、タンパク質の代謝状態が分かるのです。

この他にも、血糖値や血中脂質など様々な検査項目がありますから、必要に応じて、検査を実施し、客観的栄養アセスメントを行ないます。

narumi500_333


雑学・豆知識 ブログランキングへ

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る