身体を弱らせないための栄養素

正常細胞が好気性解糖を効率よく行うには、どんな栄養が必要なのでしょうか?

まず、好気性解糖を活性化してエネルギーを作り出すには、ビタミンB₁が欠かせません。ビタミンB₁は、ピルビン酸をアセチルCoA(アセチルコエンザイムエー、アセチルコエー、Acetyl-CoA)に変え、TCAサイクルに取り込む際に補酵素として働きます。そのためビタミンB₁が不足していると、酸素が充分にあっても好気性解糖ができず、代謝効率が下がってしまうのです。

さらにコエンザイムQ10も重要です。コエンザイムQ10は電子伝達系で電子の受け渡しをしてATPを生産する際に使われる酵素の補酵素です。したがってコエンザイムQ10が不足すると酵素が働かずATPが作れません。ATPが作れないとはエネルギーが作れないということですから、細胞が働かなくなって身体が弱ってしまいます。

また、ガンがあると脂肪細胞から血液中に脂肪酸が溶け出しますが、それをうまく代謝できなくなります。この状態を解消するには、L-カルニチンとコエンザイムQ10が有効です。

脂肪は、通常は脂肪細胞に蓄えられていて、運動するなどしてエネルギーが必要になると、加水分解されて脂肪酸とグリセロールになり、血液中に放出されます。この脂肪酸が細胞に取り込まれて代謝され、L-カルニチンの働きによってミトコンドリア内に入ります。そして、さらに代謝されてアセチルCoAに変わり、TCAサイクルに入るのです。

ところが、ガン患者はガン細胞から放出されたサイトカインなどのせいで、脂肪酸が血中に溶け出しているにもかかわらず、それを利用できないため高脂血症になってしまいます。しかし、L-カルニチンとコエンザイムQ10を同時に投与すると、脂肪酸がミトコンドリアに入りやすくなり、血中脂質を利用できるようになるのです。その結果、脂肪酸がTCAサイクルに入り、電子伝達系を経て、エネルギー通貨のATPへと変わります。

一方、ガン細胞では嫌気性解糖で乳酸が作られます。作られた乳酸は肝臓に入り代謝されてブドウ糖に戻りますが、このとき6ATPのエネルギーを消費します。つまり、解糖系で2ATPのエネルギーを生んでも出来た乳酸をブドウ糖に戻すために、6ATPを必要とします。この回復機構を「コリサイクル(コリ回路、Cori cycle)」といいますが、この機構にも限界があります。疲労物質である乳酸が溜まるうえに、エネルギーもマイナスになり身体がだるくなるのです。

この場合は、乳酸をブドウ糖にするのではなく、ピルビン酸に戻すことができれば、余計なエネルギーを消費せずに済み、だるさも解消されます。それには
BCAAやクエン酸が有効で、これらの栄養素は乳酸からピルビン酸への代謝を促進するとともに、乳酸を出来にくくしてくれます。

BCAAは人の体内で合成できない必須アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類を指します。筋肉に蓄積されていて、運動するときのエネルギー源になるとともに、タンパク質の分解を抑制する働きもします。乳酸をピルビン酸に戻す際に働くだけでなく、ガンによってタンパク質が崩壊し、筋肉が細るのを防ぐためにも有効なのです。

また、ガンがどこにあるかによってもポイントとなる栄養は異なります。たとえば肺ガンの場合はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の人と同様に呼吸が苦しく、一生懸命 息をしなければなりませんから、呼吸筋の筋力を保つことが大事です。そのため、タンパク質の崩壊を防ぎ、合成を促進する作用のあるBCAAが必要です。また、血中酸素飽和度が低くなりますから、低酸素状態で細胞の代謝を良くしてくれるコエンザイムQ10も重要です。

肝ガンの場合は肝障害を起こしていることが多く、タンパク質やアミノ酸の代謝が低下します。それを補うには肝機能を活性化する働きのあるBCAAやアルギニンが有効です。

ガンがあると代謝に異常が生じます。したがって、三大栄養素を健康な人と同様に ただ摂るだけでは うまく利用することができません。ガンがあっても身体が弱らないようにポイントとなる栄養を一緒に摂ることが大事なのです。

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