グルタミンについて

グルタミンとは?

グルタミンとは体内で合成することができる非必須アミノ酸 [体内で合成が可能なアミノ酸。グリシン、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、システイン、チロシン、プロリンの11種類]の一種で、体内のタンパク質が分解されるのを抑え、筋肉の維持に重要な成分です。

インスリンの分泌を刺激せずにグルコースに変換されるため、腸などの短時間で分裂する細胞のエネルギー源となります。さらにグルタミンには、腸の働きをサポートしたり、筋肉を強化し筋肉疲労を回復したりする効果があります。また、グルタミンは細胞を柔軟に保つことでエネルギーの代謝や窒素代謝に関与し、認知症を予防し、潰瘍の回復を早めるといわれています。

グルタミンは人間の骨格筋に貯蔵される遊離アミノ酸の約6割を占め、体内で最も多いアミノ酸です。体内ではグルタミン酸とアンモニアが「グルタミンシンテターゼ」という酵素が働くことによって生成されます。

グルタミンは強いストレスや風邪の影響を受けると消耗してしまいます。肉や魚、卵などに多く含まれますが、加熱により変性するため、食事からの摂取は難しく、サプリメントからの摂取が効果的です。

グルタミンの歴史

グルタミンは1883年にサトウダイコンの搾りかすから発見されました。グルタミンは体内に最も多く存在するアミノ酸ですが、かつてはその働きについて解明されておらず、1980年代になると、グルタミンは消化管、特に腸管のエネルギーとなることが明らかとなりました。現在では研究が進み、様々なグルタミンの働きが解明されています

グルタミンの過剰症と欠乏症

グルタミンは体内でも生成することができ、小麦粉や大豆、海藻類、肉、魚などの身近な食品に多く含まれています。ただし、グルタミンは熱を加えると変性するため、サラダや刺身など生で食べられる食品から効率良く摂取できます。

また、グルタミンは過剰に摂取すると肝臓にダメージを与えるため1日40g以上摂取すべきではないといわれています。なお、普段の食生活での過剰症の心配はほとんどなく、経口摂取[口を通して体内に取り入れること]においてはほぼ安全だといわれていますが、妊娠中や母乳授乳期の方は過度な使用を控える必要があります。

また、重篤な肝障害の方やグルタミン酸ナトリウムアレルギー、精神疾患やひきつけのある方は使用しないでください。一方、グルタミンの不足では、筋力低下や消化不良を起こしやすくします。

グルタミンとグルタミン酸の違い

グルタミンは、体内でグルタミン酸とアンモニアに酵素が働くことによって合成されます。グルタミンが腸の働きをサポートする一方、グルタミン酸は脳機能を低下させる恐れのあるアンモニアを解毒し、体外に排出します。

グルタミンの効果

グルタミンには、筋肉の分解抑制、消化管機能のサポート、免疫力向上、傷の修復などに効果があると言われています。

筋肉の分解抑制

運動をした時、風邪を引いた時、ケガをした時など、体にストレスがかかった時はグルタミンが大量に消費されます。消費されたグルタミンが適切に補給されないと、体にストックしていたグルタミンが足りなくなり、筋肉を分解してグルタミンを供給するようになります。これが激しいトレーニング時や、体調が悪くて寝たきりの状態の時に筋肉が失われる理由のひとつです。

つまり必要なグルタミンがしっかり補給されていれば、筋肉の分解は抑制されます。医療機関では手術後や動くことが困難な場合にも筋肉が維持できるよう、点滴に添加することもあります。

例えばせっかく筋肉を付けるために筋トレをしているのに、逆に分解させてしまっているとしたら本末転倒ですね。運動後には消費されたグルタミンをしっかり補給することをおすすめします。

消化管機能のサポート

グルタミンは腸管の最も重要なエネルギー源であることが明らかになっています。腸管には絨毛(じゅうもう)という突起があり、食事から摂った栄養素はここから吸収され、肝臓を通して全身へと送り込まれます。

核酸の原料となるとともに、消化管粘膜の成分であるムコたんぱく質の生成を促す性質があるため、腸管や胃の粘膜などを保護する作用があります。また細菌やウイルスの侵入を防ぐ働きもあります。

絨毛は普段、ふかふかのじゅうたんのような状態ですが、絶食などによって腸への刺激がなくなったり、十分なグルタミンが供給されなくなったりすると、薄っぺらい状態になり、簡単に細菌やウイルスが侵入したり、潰瘍ができやすくなったりします。

グルタミンにはこの絨毛を修復する作用があると共に、薄っぺらくなることを防ぐ役割があります。日頃から意識的に食事に気をつけていたとしても、それが体に吸収されなければ意味がありません。体にとって必要なものを吸収し、いらないものを侵入させないために、常に腸を健康な状態にしておくことを心がけましょう。そのサポートをしてくれるのがグルタミンです。

抗ガン剤の投与などによって、新しい絨毛ができなくなると栄養を吸収できなくなります。グルタミンは絨毛の再構築をサポートする働きがあるため、抗ガン剤による治療を受けている患者などに投与されます。

また、抗ガン剤や細菌感染によって、腸管が萎縮してしまいますが、グルタミンは萎縮した腸管を再生する働きもあります。さらに、外科手術の後などに骨格筋に蓄えられていたグルタミンには腸管に働きかけ、腸管から生体内へバクテリアの侵入を抑える役割をしていることがわかっています。

大腸では体内への水分の移行を助ける働きがあります。従って下痢の症状がある時にも有効です。しかしこの効果は逆に便秘がちの方には問題があることもあります。このような場合は食物繊維を多く含んだ食事を摂り、水分を多めに摂ることで解決すると考えられます。

免疫力の向上

グルタミンはリンパ球、マクロファージ、好中球と呼ばれる免疫細胞が分裂するときのエネルギー源として重要で、免疫力を高める作用があります。また、先にも述べたように、細菌やウイルスの侵入を阻止してくれる腸管絨毛のエネルギーにもなります。

これらのことは、免疫機能が正常に働くにはグルタミンが重要であることを意味しています。適度な運動は免疫力を活性化させますが、長時間の運動では感染症のリスクが高まるという報告もあります。質のよいトレーニングの維持や、日頃の体調管理のためにもグルタミンは有効です。

グルタミンはウイルスや細菌などの、異物から体を守ってくれる免疫機能を高める効果があるため、インフルエンザウイルスに対抗する効果や、アレルギー症状の予防・改善も期待されています。

グルタミンを摂取していると風邪などの感染症にかかりにくくなるという報告もあります。

150人以上のマラソンランナーに、レース完走直後とその2時間後に5gのグルタミンを投与したグループと、投与しなかったグループで1週間後の風邪などの感染症の発症率を比較した結果、投与しなかった方では半数になんらかの感染症の発症が認められました。しかし、グルタミンを摂取した方では、感染を2割以下まで抑えることができました。このことからもグルタミンは免疫機能を高める働きがあることがわかります。

アルギニンとともに輸液の成分に配合され、一部のガンやHIV感染による症状の緩和に利用されています。安全性については、経口摂取で適切に用いる場合は安全性が示唆されています。妊娠中・授乳中の安全性については信頼できる十分なデータがありませんので使用を避けたほうがいいでしょう。

傷の修復

傷の修復にも免疫を担当する細胞の働きが必要です。グルタミンはこれらの細胞のエネルギーとなるので、傷の修復効果も期待できます。

グルタミンは窒素の代謝[生体内で物質が次々と化学的に変化して入れ替わること。また、それに伴ってエネルギーが出入りすること]に働きかけることで、創傷の治癒に必要なタンパク質の前駆物質となります。そのため、外傷の回復を早める効果もあるといわれています。グルタミンがもとで生成する窒素量は、体内で生成される窒素量の3分の1にもなります。

腹腔部の手術患者に、グルタミンを含む高カロリー輸液[通常よりも多く糖類を含む輸液のこと]を投与すると、外科手術の際の傷が早く回復したという報告があります。

アルコール代謝を促進する効果

グルタミンにはアルコール代謝を促し、二日酔いを改善する効果があるといわれています。

アルコールを与え、アルコール性肝炎のような状態にしたラットは、グルタミンとアラニンが入った水を進んで欲しがるということがわかりました。このことから、肝機能にはグルタミンとアラニンが必要である可能性が示唆されました。

さらに研究を続け、ラットにアルコールを混ぜたエサを与えたのち、グルタミンとアラニンを投与したもの、しなかったものでそれぞれの自発的な運動量を比較しました。その結果、比較的早く運動量が増加したのは、グルタミンとアラニンを投与したものだということが明らかとなりました。

また、別の研究では、グルタミンとアラニンを投与したラットは、二日酔いなどの原因物質であるアセトアルデヒドの血中濃度が低下していたこともわかりました。

これらの結果から、グルタミンとアラニンを同時に摂取することで、アルコール代謝が促進される効果があると考えられています。また、グルタミンとアラニンはアルコール代謝の促進だけでなく、肝障害[肝臓の機能に障害をもたらす状態]の改善にも効果的だといわれています。

肝臓の大部分を切除したラットに、グルタミンとアラニンをそれぞれ投与したところ、肝臓の再生が促進されたということもわかっています。肝機能を促進させることは、脂肪肝[食べ過ぎや飲みすぎによって肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった肝臓の肥満症とも言える状態]や肝硬変[肝臓が固くなり、本来の機能がきわめて減衰した状態]などのリスクの軽減にもつながります。

その他

その他の効果として、グリコーゲンの合成促進、成長ホルモン(筋肉の合成や細胞の修復を促す)の分泌促進の効果も報告されています。

グルタミン摂取のタイミングについて

運動前後

長時間の運動によって血液中のグルタミン濃度は下がり、そのままにしておくと体は筋肉を分解してグルタミン濃度を保とうとします。せっかくのトレーニングが逆に筋肉を減らしてしまうことにならないよう、しっかりと摂取することをおすすめします。

また激しいトレーニングを行うアスリートは上気道感染症(かぜ症候群)にかかる頻度が高くなるというデータもあります。免疫力を上げてしっかりと体調管理を行うためにも運動前後にグルタミンを摂取することをおすすめします。

起床時

起床時の胃腸は空っぽですので、栄養素が吸収されやすい状態になっています。このタイミングでグルタミンを摂取すれば、効率よく吸収されることが期待されます。また寝ている間に休んでいた腸を刺激するため、基礎代謝を挙げることも期待できますのでダイエット時にもおすすめです。

就寝前

寝ている間は成長ホルモンが分泌されます。グルタミンは腸管や免疫細胞のエネルギーになりますので、疲れが溜まっている、風邪を引いている時などは就寝前に摂取することをおすすめします。


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