ヘスペリジンについて

ヘスペリジンとは、柑橘類に多く含まれている栄養素で、ビタミンPとも呼ばれるポリフェノールの一種です。

ヘスペリジンは発見された当初、人間の生命活動に必須の栄養素であると考えられていたため、ビタミン類の一種として「ビタミンP」と名付けられましたが、厳密にはビタミンではないことが明らかとなり、現在、ヘスペリジンはビタミン様物質として扱われています。

ヘスペリジンの他にも、ルチンやケルセチンなどもビタミンPに分類されます。古くからヘスペリジンを含むみかんの皮を乾燥させ、陳皮(ちんぴ)として漢方に用いられたり、欧州ではヘスペリジンは静脈の循環を改善する薬の有効成分として用いられてきました。

ヘスペリジンは、特に青みかんの皮やすじに多く含まれ、その量は完熟みかんの十数倍にものぼるといわれており、みかんが熟すにつれてヘスペリジンの含有量が減少していくことが明らかとなっています。

ヘスペリジンは熱や光に弱く、加熱するとその作用を失う恐れがあります。また、酸化しやすい成分でもあるため、空気にさらされると変性するといわれています。

ヘスペリジンは、本来水に溶けにくい性質を持つ成分であるため、体内への吸収があまり良くないと考えられていました。しかし近年では水に溶けやすい性質を持ち、非常に高い吸収力を持った特別なヘスペリジンが開発され、サプリメントなどに広く利用されるようになりました。みかんなど植物由来のヘスペリジンより、効率良く摂取することが期待できます。

ヘスペリジンは、活性酸素(普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素。体内で過度に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化の原因になるとされる)を除去する抗酸化作用や、末梢血管を強化する働きが広く知られています。また、ヘスペリジンには血圧の上昇を抑制する作用や、血中のコレステロール値を改善する作用、抗アレルギー作用、骨密度の低下を抑制する作用などが期待されています。

さらに、ヘスペリジンはビタミンCの吸収を促進する作用も持つため、ビタミンCを効率的に摂取するためにも利用できる成分です。

ヘスペリジンが持つ末梢血管を強化する作用は、血流を改善する効果につながります。末梢血管には、毛細血管とも呼ばれている非常に細い血管が多く存在しており、体内の細胞と物質のやりとりを行うことができる組織です。細胞は末梢血管から酸素や栄養素を与えられることで、健康な状態を維持しています。

末梢血管を強くしなやかに保つためには、血管の構成成分であるコラーゲンを十分に生成することが重要であり、コラーゲンを生成する役割はビタミンCが担っています。ヘスペリジンには、ビタミンCの働きを補強する作用があるため、コラーゲンの生成を促進し、末梢血管のように細く弱い血管を丈夫にすることができると考えられています。

また、ヘスペリジンは血管の透過性を適度に保つ働きがあります。末梢血管は、体内の細胞と栄養や酸素などのやりとりを行っていますが、その機能は末梢血管が持つ透過性によって維持されています。透過性とは、物質を通り抜けさせることができる性質のことです。末梢血管の透過性は、高すぎても低すぎても体によい影響を与えません。酸素や栄養素など、細胞に与える物質の大きさに応じて適度な透過性を保つことが大切です。ヘスペリジンは、この末梢血管が持つ透過性を調節する作用があり、高すぎる透過性を抑制することができます。

ヘスペリジンが持つ、このようないくつもの作用によって末梢血管はその強度が保たれています。

ヘスペリジンを摂ることによって手先足先の末梢血管の血流が改善され、体温の上昇を促す作用があります。ある実験で、ヘスペリジンを7日間継続して摂取した人に15℃の水に手をつけてもらい、体温の変化をサーモグラフィーで測定したところ、ヘスペリジンを摂取した人の手は体温の回復が早いことがわかりました。

ヘスペリジンのこの効果は、古くから日本の生活にも組み込まれており、天日干ししたみかんの皮をお風呂に入れると体が温まるといわれているのは、みかんの皮に含まれているヘスペリジンの血流を改善する効果の有効的な活用例であるといえます。

ヘスペリジンの働きは、高血圧症の予防にも効果的です。高血圧とは、血管を流れる血液が、血管内壁に対して異常に高い圧力をかけている状態を指します。高血圧が続くと、頭痛、めまい、動悸、息切れ、手足のしびれなどが症状として現れるようになります。ヘスペリジンの高血圧に対する効果を調べた実験では、高血圧を発症しているラットに糖転移ヘスペリジンを摂取させた所、最高血圧値が最大約8%低下したことが確認されています。

ヘスペリジンには、悪玉(LDL)コレステロール値や中性脂肪を低下させ、善玉(HDL)コレステロールを増加させる効果があります。コレステロールは、体内で増加しすぎることによって血流の悪化、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の原因にもなるといわれています。ヘスペリジンのもつ血中コレステロール値の改善効果や血中脂質の改善効果は、血液の健康状態に起因する生活習慣病の予防や改善に有効です。

ヘスペリジンにはアレルギー反応による炎症を抑える働きがあることから、花粉症を予防する効果があるといわれています。アレルギー反応による様々な症状は、末梢血管の透過性が高くなり過ぎることも原因のひとつです。アレルギー反応が起こると、体の異常に対して血液中から白血球(血液に含まれる細胞のひとつ。体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する役割がある)が飛び出し、侵入者である物質を攻撃するために働き始めます。

その際、末梢血管は白血球が通れるようにその透過性を高めるため、白血球以外にも、水分やタンパク質などが過剰に通り抜けていき、その結果、花粉症の鼻づまりや鼻水などの症状が引き起こります。ヘスペリジンは、末梢血管の透過性を調節する作用があるため、アレルギー反応によって高くなり過ぎた透過性を抑え、鼻水など花粉症の症状を予防することができると考えられています。

ヘスペリジンには、骨粗しょう症を予防する効果があるといわれています。骨粗しょう症とは、代謝によって骨が吸収される速度が、骨が形成される速度を上回ることで、骨がもろくなる症状を指します。ヘスペリジンには、骨密度の低下を抑制する効果があるといわれているため、骨粗しょう症のように、骨密度が著しく低下する症状を予防することができます。また、ヘスペリジンを摂取することで、骨の損傷を防ぐことが明らかとなっています。


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