高齢者に広がる低栄養 認知症やサルコペニアに注意

「飽食の時代なのに低栄養(栄養不足)」という矛盾した健康状態の高齢者が増えています。元気なうちからあっさりとした料理を好み、気付かないうちに低栄養が進むケースが危険です。筋肉、骨の衰えや免疫力の低下、さらに認知症をも招いて、要介護状態になりかねません。まずは、手軽に飲める牛乳などでタンパク質不足を防ぐことが重要です。

低栄養

高齢者の低栄養とは、小食でタンパク質、炭水化物、脂質、鉄分などが不足し、カルシウム、葉酸、ビタミン類なども不十分な状態をいいます。国内では現在、65歳以上の2~3割が低栄養の傾向にあります。

中でも、人体の筋肉、臓器などを形成するタンパク質の不足が目立っています。タンパク質の過不足は、血液の中を流れる血清アルブミンの値が重要な指標となります。血液100ミリリットル中に含まれる量が4.0グラム以下の場合、低栄養状態といえます。

厚生労働省の国民健康・栄養調査を基に分析した結果、2009年には高齢者の平均値で約15%が4.0グラム以下と判明。2003年の8%から6年間で2倍近くに増え、80歳以上で増加傾向が顕著でした。

一方、東京都健康長寿医療センター研究所が東京都小金井市と秋田県大仙市で行った高齢者の追跡調査では、タンパク質や脂質などの摂取量が少ないやせ形の人は肥満気味の人と比べ、8年後の生存率が一割程度低いことが分かり、高齢者の栄養と余命の関係性が裏付けられたといいます。

低栄養の高齢者が増えているのは、「メタボリック症候群を避けたいという意識が強く、小食を良しとする風潮が強まった」ことが原因だと考えられますので、「70歳を超えたら、メタボよりフレイル(心身の衰弱)やサルコペニア(筋肉と筋力の低下)に気を付けて食生活を組み立て直すことが重要」だと思います。

具体的には、肉、魚介類、卵といった動物性タンパク質をはじめ、野菜、大豆製品などを毎日、偏りなく食べることが理想的。タンパク質は、体重60キロの男性で1日60グラム(肉、魚で300グラム)程度の摂取を目安にしてください。

高齢者の栄養状態は認知症の発症リスクとも関係する

九州大大学院医学研究院の二宮利治教授は、人口増加率や住民の年齢・職業構成などが全国平均とほぼ同じ福岡県久山町での17年にわたる調査により、住民の食事パターンと認知症発症の関係を検証。大豆・大豆製品、野菜、海藻、牛乳・乳製品、果物、魚、卵などを多めに食べる人ほど認知症発症のリスクは最大約4割減少するとの結果を得ました。

中でも、1日に100~200グラムの牛乳・乳製品を取っている人の認知症発症率が、ほとんど取っていない人と比べ、約3割低いことが明らかになりました。牛乳・乳製品に含まれるタンパク質、カルシウム、マグネシウムなどが効果を上げたとみられ、二宮教授は「高齢者でも、牛乳は手軽に栄養補給できる。瓶牛乳なら毎日一瓶程度を飲むことが、認知症予防に有効と思う」と話しています。

サルコペニア

筋肉の大きな役割のひとつは「体を支えること」です。
人間が直立二足歩行をできるのも筋肉がしっかりと体を支えているからです。

筋肉を減らしてしまうと、寝たきりや要介護になる危険がとても高まります。こういった自立できない状態に陥ってしまったら、家族や周りの人にかかってくる負担は、とても大きなものとなります。このことを思うと、筋肉の大きな役割は「人生を支える」と言っても過言ではないでしょう。

日頃の運動量の違いなどで個人差はありますが、40歳前後から徐々に筋肉量の減少傾向が見られ、その傾向は加齢に伴って加速化していきます。特に高齢者においては、その速度はますます高まります。

通常、筋肉は運動による刺激やタンパク質(アミノ酸)の摂取によって維持して、増加しています。そして、一日の間に筋肉の合成と分解を繰り返しています。成長期では、この合成と分解のバランスがプラスとなり、十分な量のタンパク質の摂取により筋肉は増加していきます。

ところが加齢に伴い、運動や食事の摂取等の刺激に対する感度が低下することに加え、食事量、特にタンパク質(アミノ酸)摂取量や運動量の減少により、筋肉の合成量が低下し、合成、分解のバランスが崩れることにより、筋肉が減少する傾向が現れます。

このような年齢に伴う筋肉の減少は、「サルコペニア」といわれ、筋力の低下や身体能力の低下を招く一因として注目されています。

サルコペニアはギリシャ語のサルコ(筋肉)とぺニア(減少)の造語です。
サルコペニアの定義は、①筋肉量の減少、②筋力の低下、③身体能力の低下とされており、そのうち、①プラス、②か③のどちらかがある状態とあり、筋肉量だけでなく、筋力の低下にも重きをおいています。

筋肉量と筋力の低下は、糖代謝と脂質代謝異常のリスクを増加させ、他の病気を併発する恐れもあります。

ここ10年、日本人の食生活におけるタンパク質の摂取量が低下しています。摂取量は男女を問わず、若年層から高齢層まで幅広い層で低くなっています。

だからこそ、日々の食事では良質なタンパク質を適切に摂取する、そして多彩な栄養素をバランスよく摂ることを心がけて、いつまでも健康で自立した人生を送りましょう。

筋力は一定の負荷をかけることによって維持・向上します。そこで自分の体重やチューブ、ダンベルを利用したレジスタンス運動(=筋力トレーニング)を生活に取り入れてみてください。壁を使ったスクワットは膝や腰を痛めにくいのでお勧めです。

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